内懐の

知ってほしいと思いながら、知られたくないと思っている…

鑑賞中の狂気と白いポップコーン

友人に誘われて映画『糸』を観に行った。(作品については後日投稿することとする。)

やはり、作品を鑑賞するときでさえ理系脳が働いてしまう。因果と規則性にばかり着目しがちなのだ。

鑑賞中に巻き起こるすべての思考の動機は、どんなに支離滅裂に見える人であっても、その人なりの理屈に基づいて行動しているはずであるということだ。

まずは登場人物各々についてこの人はどういう動機・思考回路に基づいて行動しているのかを分析する。本当のことは知らないが、自分なりに納得のいく解釈が見つかればそれで満足。とりあえず『いきなりどうしたんだこの人』『理解不能…』で終わらせたくはないがゆえに必死に頭を働かせる。

それと同時に、作者がこの作品に与えた規則性を探し出そうとする。勿論そんなものはないことの方が多いが、全体の構造に美しさが隠れている作品が稀にある。それを見つけた瞬間は至高である。

周りが号泣している傍ら、真顔でそんな分析をしている自分が怖すぎてちょっと泣けた。
そんなことを考えながらボリボリとポップコーンを食っていた。スクリーンの薄明かりの中、どうにかこうにかキャラメルソースの濃い部分だけを探し当てて食べた。エンドロールを通り越して空間が明るくなる頃には、真っ白なポップコーンだけが綺麗に残っていた。しかも湿気っている…