内懐の

知ってほしいと思いながら、知られたくないと思っている…

【南ビール】page121『勝馬が笑った時』アイビーの主題とこの世の希望【アイツのBLマンガ】

『アイビー沼地』というブログを閉鎖するにあたり、こちらにお引越しした記事です。2020/1/20に書かれました。

アイビーの主題は何なのか、という問に対する答は登場人物の数だけ用意できる。

度の過ぎた過ちをおかし、その罪の正当な償いすらしなかった彼が自分の罪とどう向き合うか… 悲しみの末の共依存状態をどう自覚するか、本当の意味で互いの為になる関係とは何なのか… マイノリティへの批判の中でどう生きていくか、どこまで鎖国を続けるのか… 人に執着せず上っ面の関係の中で生きてきた彼が、真剣に人と向き合いたいと願ったときにどうやって信頼関係を築いていくのか… 好きになった人に殺されかけた事実をどう受け入れ、どこに自分の居場所を見出すのか…

…うわぁ…めちゃくちゃ重苦しい。装飾を外してしまえば、こういうテーマを真剣に扱った作品だった。

アイビーに対して抱く感想というのは、どれも恋愛漫画に対する感想を逸しているように思える。 流血シーンもあったなあ。絶望で心が締め付けられた日もあったな。 それでも、どんな過去を背負おうとも、いくらでも再スタートができる。そういうこの世の希望を見せつけられた。

それだけだ…もう何も言うことはあるまい。終わりよければすべてよし。本当にそう思う。これ以上下手に考察を掘り下げたら穢してしまうような気すらする、そういう清々しさが残っている。