内懐の

知ってほしいと思いながら、知られたくないと思っている…

2020-01-01から1年間の記事一覧

【窮鼠】幸福観の押し付けへの問題提起【映画『窮鼠はチーズの夢を見る』のメッセージ性】

エンドロールが流れた瞬間、救いのある続編を渇望した。 不完全燃焼のまま呆然と映画館を後にしたあの日を忘れはしない。"よく分からない作品"のまま記憶の隅に追いやった映画『窮鼠はチーズの夢を見る』のラストが、急に意味のあるものに見えてきたのは、某…

【糸】緻密に織られた人生の縮図【映画『糸』全解説】

ふとした瞬間に感じる人生の美しさを追体験できる、まさしく結晶のような作品。 そんな貴重な映画『糸』に秘められたメッセージと誰もが抱きうる感情の片鱗を拾い出して眺めてみたい。 ◤◢◤◢注意◤◢◤◢ ・一度しか観ていないため、台詞はうろ覚え ・当然ネタバ…

鑑賞中の狂気と白いポップコーン

友人に誘われて映画『糸』を観に行った。(作品については後日投稿することとする。)やはり、作品を鑑賞するときでさえ理系脳が働いてしまう。因果と規則性にばかり着目しがちなのだ。鑑賞中に巻き起こるすべての思考の動機は、どんなに支離滅裂に見える人…

【窮鼠】明日、○○が終わるなら…窮地での希望的観測とルターの名言【漫画『窮鼠はチーズの夢を見る』と日本語鑑賞】

『窮鼠はチーズの夢を見る』って、『たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える』になんだか似ているよな…という話をしたい。 明日、世界が終わるなら… たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える ドイツの宗教改革者・…

ペンローズの階段を愛せるか

人生なんてペンローズの階段みたいなものだと思っていた時代がある。ここでいうペンローズの階段とは、日々の平穏さ、すなわち単調さの比喩である。上昇、下降はあっても、ある一定の道(一般的な人生のあらすじ)からは絶対に逸れることはない。そんなエン…

【DA】ダイヤルアゲインと旧約聖書

2017年3月2日から10月19日までcomicoで連載されていたBL漫画『ダイヤルアゲイン』。 現在もWeb、およびcomicoアプリで公開中である。 Web版『ダイヤルアゲイン』 comico(コミコ)作者は『菜の花ボーイズ』で名を馳せたピョン先生。菜の花ボーイズ時代に比べ…